偽りの愛は深緑に染まる
「もうやめて。この話は終わり。言うこと聞いてるんだから勘弁してよ」
「えー……」
よかった。あっさり諦めてくれた。どうやらしつこくはないらしい。そこだけが救いか……。
21枚目の葉書に手を伸ばす。郵便番号を書き入れていると、何かの影で手元が暗くなった。
左を向くと、佐渡山が立っていた。
「なに……」
佐渡山と目が合った次の瞬間、梨沙は腕をひっぱられてベッドに押し倒された。
「ひっ……ななな何するの!? やめてってば! どいてよ!」
襲われるーー。
梨沙は佐渡山をひっぱたこうとした。
しかし佐渡山はひょいと立ってもとの場所に座った。
「うそうそ、冗談」
梨沙は呆気にとられる。
「冗談で済まないから! 最低……!」