偽りの愛は深緑に染まる

 佐渡山は反対するかと思った。しかし意外にも、彼は頷いた。

「ふーん、まあいいけど」

「なら、私が奢るのは3千円以内で、月1回まで。それと、拘束時間は……2時間以内。これでどう?」

「はいはい、お好きにどうぞ」

 ……やっぱり、佐渡山ってよくわからない。話せば話すほど掴めない。

 やがて、ビールがきた。親子丼も食べ終わったので、ビールに口をつける。酒の味もそういえばよくわからないものだなあと思った。

「佐渡山……不思議に思うんだけど、私と飲んでて楽しいの? というか喋ることなくない?」
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