偽りの愛は深緑に染まる
揃った関係
「光流さんから、メール……」

どくんと、心臓が跳ねた。重苦しい鼓動。

今日は月曜日。光流さんからメールが届くのは今まで木曜日か金曜日しかなかった。それはほぼ暗黙の了解のようなものだった。週末以外は、必要以上に干渉し合わない___。

開くのが、怖い。

信号が青になったが、画面を見たまま立ち尽くす。

信号が再び赤に変わった。

やはり、見る勇気が出ない。
家に帰ってから読もうと決めて、スマホをカバンの中に仕舞う。

内容は___何だろうか。そのこと以外はもう考えられない。

もしかして……別れを切り出される？やはりこの間のことがまずかったのだろうか。愛人失格。このタイミングならあり得るかもしれない。そう考えると、どんどん悪い方向へと想像が膨らんでいく。

退社からここまでの20分ほどで、すでに刺激が強すぎる。呆然としながら家へ向かって歩き続ける。

やがて帰宅した梨沙は、カバンを置いてへなっと座ると、恐る恐るスマホを取り出した。

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