その結婚、取扱い注意!
「楽しんでる? ミミちゃん」
「はあ? ミミちゃんって気安く呼ばないで」

名前まで知っているなんて、いつから見られていたのだろうか。

不安になってカウンターにいる美里ママへ視線を走らせた。

「それってコスプレのつもり?」
「えっ?」

一重まぶたのすっきりした目が、私のワンピースを下から上まで見てから胸で静止する。

「赤だったら95点だったのになぁ」
「このワンピースがサンタクロースのコスプレだと思っているの?」
「あれ? 違うの?」

くくくっと笑うと、口元に皺が寄る。

「違います! それに95点てなに? あと5点はなにが足りないの?」

サンタクロースのコスプレをしているわけじゃないのに、彼の会話に引き込まれて聞いていた。

彼はニヤッと笑って「帽子」と言った。

「だからコスプレじゃありませんってば」

正直このワンピースは失敗だったかもしれない。もしかしたらここにいる人たちも私がコスプレしているって思ってる?

「本当に年上? 可愛いんだけど」
「年上――って、どうしてここにいるんですか? 早く出て行って。早く客引きの仕事に戻ったほうが――」

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