その結婚、取扱い注意!
「すごい! なんか楽しそうだね! ますます結婚式が楽しみになっちゃった!」

菊池さんは興奮した口調で喜んでいる。
ふと久我さんを見ると、イスの背にもたれて目を閉じていた。

「眠っちゃったみたいだよ」

菊池さんが肩を揺すっても目を覚まさない。

「どうしよう……あ! 田代部長に連絡してみようかな」
「その方がいいよ。こんなに酔ったのも、田代部長の娘ちゃんのせいでしょ?」
「そうだね。かけてくる!」

私はスマホを持って席を立つと居酒屋の店舗を出た。

田代部長はまだ仕事をしていて、30分後に来てくれることになった。

「美海、仕事はどう? もう2ヶ月経ったっけ?」

菊池さんはグラスにあまり入っていないビールをごくっと一口飲む。

「あと数日で2ヶ月だよ。早いね」

この修学旅行の仕事が終われば契約期間は終わる。
田代部長からはこの後も続けてほしいと言われているけれど、仕事を始めてから家事がおろそかになっているから悩んでしまう。
それで湊が怒ることはないけれど。

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