その結婚、取扱い注意!
「まだ起きてたのか。明日も仕事だろ? 大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」

リビングで湊はスーツのジャケットを脱いでいる。ワイシャツ姿も大好きで、袖のボタンを外す仕草もたまらなく好き。結局、美形の湊はなにを着ても似合うし、私はすべてが好きなんだけど。

ソファに座って見ていると、ワイシャツの肩に赤い汚れを見つけた。
立ち上がって湊に近づき、良く見てみるとそれはあろうことか口紅の跡だった。

え……? これって……。

私の頭の中に浮気の文字が浮かび、それを振り払うように首を大きく横に振る。

「どうしたんだ? いきなり首を振って」

私の行動に不思議そうな顔になる湊。それから私の視線をたどって自分の肩口に視線を落とす。そこで、湊の顔がギョッとなった。

「浮気……」

私の頭の中がめまぐるしく混乱して、思わずポツリ言葉に出た。

「浮気じゃねーよ。ミミ、俺が浮気すると思ってんの?」

ギョッとなった顔から一転、湊は呆れたように口元を歪める。

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