その結婚、取扱い注意!
テーブルの上に置かれたままの木彫りの像を持って寝室へ行こうと歩きかけた時、2本目のビールを飲んでいた湊が口を開いた。

「お前、まさかそれを寝室に持っていこうと思ってないよな?」

木彫りの像を持ったまま振り返る。

「え、持っていこうと思っているけど」
「そんなあてにならない話、本気にするなよ。玄関に置けよ」
「湊っ、だめだよ。美里ママが私たちのためを思ってこんなに大きなものを買ってきてくれたんだよ? 玄関に置いたら見つかっちゃうし、私は寝室に置きたいの」

湊は疲れたように額に手をやりため息を吐く。

「わかったよ。寝室に置けばいいよ」
「うん。ありがとう」

寝室に入り置くところを探す。

ベッドとドレッサーだけの寝室だから置けるところは限られている。
ドレッサーに近づくと、隅に木彫りの像を丁寧に置いた。


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