その結婚、取扱い注意!
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「さてと、これで忘れ物はないかな」

荷物の入ったスーツケースを広げたまま、腰に手をやり頭の中で確認する。

グレーのパンツスーツを着て行き、向こうでは黒と紺のスーツで仕事。
パンプスなども入れて意外にかさばり、荷物が多くなってしまった。

「あ! パスポート!」

一番大事なものを忘れてた。

リビングの棚の引き出しからパスポートを取り出すと、黒の手荷物用のバッグに入れる。

用意を終えてキッチンに立ち、マカロニサラダの仕上げをしていると玄関が開く音がした。

すぐに湊が顔を見せる。

「お帰りなさい!」
「ただいま」
「準備、終わったのか?」
「うん。もうばっちり」

カウンターの中からにっこり笑顔を湊に向ける。

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