その結婚、取扱い注意!
「もっと気を楽にしていいんだぞ?」
「田代部長……」
「ずっと生徒たちを見張っていなくていい。俺たちの仕事は行く先々、滞りなくスムーズに動くようにするのが仕事だからな」
「……はい」
「顔色が悪いな。大丈夫か?」
「そうですか? 大丈夫です!」
 
いつものように明るく返事をすると、田代部長は頷き近くにいる教頭先生の元へ行った。

田代部長、鋭いな。

バッグから手鏡を出して、自分の顔を映す。いつもより肌の色が白く見える。

少し胃がムカムカしていた。
バスに酔ったみたいだ。

エッフェル塔にテンションが高くなった男子生徒たちが互いの背中に乗るようにふざけはじめた。すかさず担任の先生に注意され大人しくなる。
そんな光景を見て、私は思わず笑みを漏らす。

懐かしいな……。

この修学旅行は観光が分刻みに詰め込まれていてハード。

大人数だから時間を余裕に見積もっても、おせおせの観光だった。

< 126 / 155 >

この作品をシェア

pagetop