その結婚、取扱い注意!
「はい。ありがとうございます」

テーブルの上に置いていた自分のスマホを手にしたとき、小林主任が「ええっ!」と大きな声を上げた。

「田代部長! キャンセル待ちです!」
「電話を貸せ」

田代部長は小林主任から代わり、電話の相手と話しはじめた。
早口で流暢な会話がシーンと静まり返った部屋に響く。

聞いていると私の理由を話し、プッシュしている。

お願い。取れて……。

『わかりました。キャンセルが出たらすぐに連絡を』

そう言って田代部長は電話を切った。

「本田君、すまない。キャンセル待ちになってしまった……」
「だ、大丈夫ですよ。田代部長がプッシュしてくれたし、きっと取れます。で、電話をかけてきますね」

結婚式に間に合わないと思ったら、動揺してパニックの一歩手前だった。

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