その結婚、取扱い注意!
*****

スーツケースがないおかげで、ターンテーブルの前で待つ時間がはぶけ、足早に入国ロビーに向かう。

「ミミ!」

ガラスドアを出たところで湊の声がした。

「湊っ!」

湊の顔を見たらポロポロと涙が溢れてくる。

私はべそをかきながら、湊の胸に飛びこんだ。

「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「ミミ、謝る必要なんかない」
「ずっと後悔していたの。添乗を引き受けなければ良かったって――」
「ミミ、もう大丈夫だから。あとで思い返せば添乗を引き受けて良かったと思うだろうし、いい思い出になる。ほら、行くぞ」

止まらない涙を湊にハンカチでぬぐわれ、手を引かれ外に出る。

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