その結婚、取扱い注意!
少し離れたところに立っていた湊は私とは大違いの颯爽とした足取りでこちらにやってくる。

出席者はすでにピッタリと閉められた扉の向こうにいるのだろう。視線をめぐらすと湊の姿しかなかった。

「すみません。ほんの少しだけ時間をください」

湊は私の側にいる男性スタッフに声をかけると、折り目正しくお辞儀をして離れていく。

「ミミ、緊張しているのか?」

私のこわばった表情を見て薄く笑う湊。

「結婚式だよ? 緊張しちゃうよ……」
「もう新妻じゃないんだし。もっとリラックスしろよ」
「新妻じゃなくたって、緊張するものはするのっ」

軽口をたたく湊と話をしていたら、緊張が少し和らいだ気がする。

「ミミ」
「ん?」
「ウエディングドレス、良く似合っていてキレイだ」

突然、褒められてボッと頬が熱くなる。

< 144 / 155 >

この作品をシェア

pagetop