その結婚、取扱い注意!
「田代部長」
「本田君、おめでとう。無事に結婚式を挙げられたようでホッとしているよ」
「田代部長のおかげです。ありがとうございました。みなさんも本当にご迷惑おかけしました」

田代部長の横にベージュのサテン地のワンピースを着た久我さんがいつの間にかやってきていた。

田代部長に寄り添うように立ち幸せそうな笑みを浮かべている。

その後も楽しい時間が過ぎ、私たちはみんなに送り出されて二次会場を出た。

エレベーターに乗り、一晩過ごすホテルのエグゼクティブスイートに向かう。

もう少しで部屋というところで、足が自分のものじゃなくなったかのように力が入らなくなり、身体がグラッと揺れた。

「ぁ……」

喉の奥からしぼり出るような声しか出ず、意識が遠のきその場に崩れるように倒れた。

「ミミっ!」

遠のく意識に湊の焦る声が聞こえた。

< 149 / 155 >

この作品をシェア

pagetop