その結婚、取扱い注意!

おネエたちの悪ふざけ

マンションに戻ったところで、私のスマホが鳴った。

着信を見ると美里ママ。

「だれ?」

湊がスーツの上着を脱ぎながら聞いてくる。

「美里ママ」

湊に教えてから出ようとすると、手を差し出される。

「貸して」
「?」

鳴るスマホを湊の手のひらに置くと、通話とスピーカーをタッチした。

『ミミちゃ~ん、無事に着いたかしらぁ~?』

美里ママの心配そうな声が聞こえてきた。

「ああ」

湊の声に一瞬の間。

『……あら~ いやだぁ。一緒だったのぉ~?』
「美人堂の近くで見かけて一緒に帰ってきたんだ。今日は悪かったな」
『いいのよ~ でも、ミミちゃん寂しそうだったわ。ちゃんと埋め合わせしなさいよねぇ』
「もちろん。心得てるさ」

いたずらっ子のような瞳で私を見て、思わず大きく首を横に振る。

ふたりの埋め合わせの意味が怖いんですけど。

『じゃあ、切るわ。メリークリスマスぅ~』

電話が切れると、スマホが私の手に戻ってくる。

湊の指先がてのひらに当たって、ドキッと心臓が弾む。

「み、湊っ、風邪薬飲まなきゃね」

私は湊から離れ、リビングの救急箱代わりの引き出しを開ける。

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