その結婚、取扱い注意!
湊と一緒に美人堂へ行けると思っていたからクリスマスっぽく、緑色の膝上のベルベッド素材のワンピースを買った。赤じゃないけどこれでサンタの帽子をかぶったら女サンタクロースのコスプレみたいで恥ずかしい。

「美里ママや明菜さんにからかわれちゃうんだろうな」

着てみて鏡の前に立つと、本当にコスプレをしているみたいだった。

「あ! たしかロンドンで買ったフェイクファーのボレロがあったっけ」

そのボレロを羽織ればコスプレっぽくならないはず。

クローゼットの引き出しの奥の方を探して、ボレロを見つけた。

以前に比べたら伸びた髪の毛をふんわりとコテで巻いて支度は完了。

「これでよしっ!」

鏡で姿をチェックしてからベージュのコートを手にした。

******

新宿駅を降りて繁華街を歩いていると、クリスマス一色だった。

どの店からもクリスマスソングが聞こえてきて、客引きの男女はサンタクロースやトナカイの衣装を着ている。

「ねえ、ねえ、そこの彼女~ かわうぃ~ね~」

かわうぃ~ね~って、もう古いんだけどな。
たしか、ロンドンに行く頃に流行っていたと思う。

黒服に声をかけられるのも毎度のこと。最初の頃と違って無視も様になっている気がする。



< 4 / 155 >

この作品をシェア

pagetop