その結婚、取扱い注意!
帯を外していると、湊が戻ってきた。

ボストンバッグの中から、しわにならない素材のチョコレート色のワンピースを出してくれる。

「これでいいか?」
「うん。ありがとう」

大島紬を脱いで肌襦袢に手をかけた時、ベッドに腰を下ろした湊が見ていることに気づく。

「湊、顔は向こうね」
「夫婦なんだから別に見ていたっていいだろ」
「着替えるところを見られるのは恥ずかしいの」

肌襦袢の下は着物用の肌着。

「ほら、脱げよ」

うわっ、脱げよって……。

またまた色気のある声で紡がれて、肌襦袢を両手で持ったまま固まる。

「ミミ?」

湊はおもむろに立ち上がり、私の前に立つ。

「な、なにをするの?」
「世話してやるよ」
「い、いい! 湊にお世話されなくても一人で着替えられるから」

元旦早々、なにを言ってるんだか。

私の拒絶を湊は無視して、肌襦袢をバッと肌蹴させ腕からするっと脱がす。

「その下にまだ着てたのか」

ガーゼ素材の肌着に湊が顔をしかめる。

「もうっ! なに言ってるのっ」

肌襦袢の下は裸だと思っていたよう。

< 41 / 155 >

この作品をシェア

pagetop