その結婚、取扱い注意!
******

病院から戻った私は疲れを感じ、ベッドに力なく横たわった。

目を覚ますと、湊がトレーを運んできたところ。その音で目が覚めたようだ。

「気持ち悪いか?」
「ううん。大丈夫」

目が覚めると、胃の不快感はそれほどでもなくなったけれど、妊娠でなかったと知らされた時より今の方が気持ちが沈んでいる気がする。

目頭がぐっと熱くなって、瞳が潤み始める。

湊に見られないよう俯きがちにトレーを受け取ろうと手を伸ばす。だけど、一向に伸ばした手にトレーが持たされない。

トレーはサイドテーブルに置かれた。

その行動がわからず思わず顔を上げると、おもむろにベッドに腰を掛けた湊の腕が回って抱きしめられる。

無言で抱きしめられて、湊も私と同じくらい悲しいのだと悟る。

「湊……ごめんね……ありがとう」
「すぐに出来る」
「うん。そうだね。気持ちを入れ替えるから。今日だけ……すごく……湊に甘えたい気分なの……」

湊にぎゅうっと抱きつくと、背をゆっくり撫でてくれる。

「たっぷり甘えろよ。そばにいるから」


おかゆを食べ終わった私は少し前向きな気分になり、リビングで湊とゲームをしながら過ごした。

< 47 / 155 >

この作品をシェア

pagetop