その結婚、取扱い注意!
リビングのローテーブルにあると分かり安堵したみたい。

実はこれは私から湊へのクリスマスプレゼントだから。私も必要ないかな~と思いながら買ったんだよね。でも、あげるものが思いつかなくて、デパートをうろうろしていたらタグホイヤーの時計が目に入ったのだ。

湊の少し骨ばったキレイな手にダイバーズウォッチのこの時計は良く似合いそうだと私が気に入ったから。

プレゼントしてからは気にしてくれてちゃんと毎日つけてくれていたんだけれど、今日は慌ただしく出て行ったから忘れてしまったんだと思う。

身につけるのを忘れて行ったからって私は不機嫌にならない。

そんな湊をわかって買ったから。


夕食の食材の買い物に出かけ、キッチンで用意をしていると、エプロンのポケットに入れていたスマホが鳴った。

湊かと思いきや、以前勤めていた旅行会社の同僚の久我さんからだった。

「もしもしっ」
『ハロー、元気―?』

明るい久我さんの声に私も笑顔になる。

「どうしたの? まだ就業時間中だよね?」

仕事帰りのお客様がこれから来店する時間帯だ。

< 49 / 155 >

この作品をシェア

pagetop