その結婚、取扱い注意!
客引きをしてはいけない条例があるにもかかわらず、たくさん道に出ていてパトロールがくるとさっといなくなる。

今日は特別な日だけあって、あちこちでパトロールの人たちをみかけるけど、こういう人たちはつわものでなかなか捕まらない。

ピンクのネオンが目立つ美人堂の看板が見えてきた。

そのとき、白いスーツを着た男が行く手に立たれて立ち止まる。

一瞬、湊が来てくれたの?と思ったけれど、金髪の男、整った顔はイケメンだけど湊と似ても似つかないホスト。

「ねっ、君っておかまに興味あるの?」
「えっ?」
「だってよく来るでしょ? よく見かけるから、もしかして男に興味ないのかと思って」

なんなのっ、失礼な男はっ。

「よく見てよ!」

私はホストの目の前に左手を出して、結婚指輪を見せる。

「あれ? 結婚してたんだ。ホントにぃ? それってフェイクなんじゃないの? まだ若いでしょ?」

結婚指輪を見せても信じようとしないホストに呆れてしまう。

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