その結婚、取扱い注意!
「美里ママ、なにが酷いんですか?」
『私の顔がよー こんなことなら出るんじゃなかったわ!』
「美里――あっ! 湊っ!」

話しをしている途中で湊にスマホを取り上げられた。

「もともとお前の顔は酷いだろ。今更なに言ってんだよ」

美里ママに追い打ちをかけるように湊は話しはじめた。

『酷いわー 湊ったら!』

スマホを通して聞こえてくる美里ママの声。湊はうるさいとばかりにスマホを耳からすぐに離す。

『もう立ち直れないわー!』

ブチっと通話が切れる。

「湊、美里ママにそんなこと言っちゃだめでしょ!」

傷ついた? 傷ついたよね? 美里ママ。

「俺なりの慰めだったんだけどな」
「もうっ、それって慰めになってないよ」
「そんなに事故映像だったのか?」

思い出すようにクッと喉の奥で湊は笑うのを見て、私は大きくため息をついた。

「見ちゃダメって言うんだから見ないであげようよ」
「いや、消すなよ。明後日、ゆっくり見ような」

まあ、私より湊の方が美里ママの付き合いが長いから、気にしなくてもいいかな。

湊は私の手のひらにスマホを戻すと、リビングを出てノートパソコンを持って戻ってきた。

< 52 / 155 >

この作品をシェア

pagetop