その結婚、取扱い注意!
湊がどうして私を見てニヤついていたのかを知ったのは、家事の後に鏡を見てから。

鏡に映る私の首にあちこち咲く赤い色のキスマーク。

昨夜、湊がベッドに入ってきたときのことが思い出された。

「はぁ~ これが予防線か。まったくもって私の身は安全なのにな」

やることが可愛いと思ってしまう。

クスッと笑みを漏らしながら、なにを着て行こうか迷う。

首を隠す服でも隠し切れないキスマークがあるから。


新年会の場所は渋谷のよく行っていた居酒屋。

会社の営業時間が終わってからの新年会なので、集合は20時からだ。

グレーに小花の模様が華やかさを添えたワンピースに、薄紅色のシンプルなスカーフを首に巻く。

これでも注意していないと、湊がいたずらにつけた跡が見えてしまう。

ベージュのコートを着て、ウエストを同じ生地のベルトでリボン結び。

黒のショートブーツを履いて玄関にある姿見でチェックする。

「これでOK!」

マンションを出て駅に向かった。

< 54 / 155 >

この作品をシェア

pagetop