その結婚、取扱い注意！

落ち込む人

＊＊＊＊＊＊

「美海～　こっちよ～」

かなり混んでいる居酒屋に入ると、奥まった座敷に案内され、すぐに久我さんが私に手を振る。

「安西さん！　久しぶり！」などと、久我さんのところへ向かうまで、数人の社員に声をかけられる。

私は懐かしい人たちに挨拶をしながら久我さんの元へ足を進める。

「きゃーっ！　美海～　またきれいになったんじゃないの？」

久我さんが立ちあがって出迎えてくれる。

「変わってないよ」

笑って否定すると、割り込む男性の渋い声が。

「いや、ずいぶん変わったな」
「田代部長！　ご無沙汰しています！」

偶然なのか、久我さんの隣に田代部長が座っている。本来、部長なら上座に座っているはずなのだが。

「美海の席はここね」

空いている田代部長の右隣の席に久我さんは私を座らせる。それから久我さんは田代部長の左隣に座った。

田代部長の隣の席だと緊張しちゃうな。なんて思っていると隣に菊池さんがいることがわかってホッとする。

< 55 / 155 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop