その結婚、取扱い注意!
「美里ママはとても素敵な人です。本当にわかっていますからっ!」

こぶしに力を入れて言うと、美里ママはくすっと笑う。

「ありがとう。ミミちゃん。じゃあ、行くわね。立ち直ったことを知らせたかったの。湊によろしくね~」

美里ママはそれだけ早口で言うと、腰をくねらせるようにして出て行った。

「元気になって良かった」

私は美里ママが出て行った玄関を見て、ホッと安堵した。
リビングに戻った私は湊に報告しようとスマホを手にする。

『今、美里ママが家に来たの。湊に言われて目が覚めて、立ち直ったって』

まだ通勤途中なのだろう。湊からすぐ返ってくる。

『立ち直ったわけじゃないと思うけど、あいつはあいつなりに仕事や周りを考えて吹っ切れるように努力しているんだろう。整形でもしなきゃどうにもならないからな』

湊のメールを見て、ぐったりうなだれた。

口が悪いんだからっ。
まあ、とりあえず一件落着?

「コーヒー飲もう」

コーヒーを飲んだら、田代部長に電話をかけよう。

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