その結婚、取扱い注意!
赤いビロード素材のイスへ座ると、グッと身体が沈む。

松下さんと来たときと同じで、思わずクスッと笑い声。

2年以上経っているのに、まだ使えているなんてすごい。

「本当に大丈夫なの? ここ」

小声で菊池さんが聞いてくる。

「もちろん。お勧めはクラブハウスサンドだけど、ミートソースパスタも美味しそう」

メニューを見ると、クラブハウスサンドだけでなく他の料理もあった。
でもやっぱりずっと食べたかったクラブハウスサンドを頼む。

少しして私たちの目の前に注文の品が置かれた。

食べ始めると、久我さんと菊池さんの瞳が輝く。

「なにこれ、美味しいっ!」

口に頬張りながら、菊池さんが絶賛する。

「美海、ここよく知っていたわね?」
「退職する日、松下さんに連れてこられたの」
「松下さんにっ? あのセレブで絶対に来なさそうな松下さんが?」
「うん。でも、松下さんは田代部長に連れてこられたって言ってたっけ。あー! そうだ! 久我さんっ、田代部長とどこまで話が進んでいるの?」

田代部長のことを聞くと、久我さんはポッと頬を赤らめた。

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