その結婚、取扱い注意!
「実はプロポーズされたの」
「きゃーっ! おめでとう!」

思わず声を上げてしまうと、周りに座っているサラリーマンが新聞から顔を上げてじろりと目を向けてくる。

私は小さく頭を下げて、2人に苦笑いを向けた。

「そんなところまで話が行っていたんだ。本当におめでとう」
「ありがとう。まだまだ難関があるんだけどね」

そう言ってから久我さんは深いため息をつく。

「難関? ご両親?」

娘が子持ちの男性と結婚するのは抵抗があるのかな?

菊池さんは話を聞いているようで、口を挟まず美味しいクラブハウスサンドをパクついている。

「ううん。両親は賛成してくれているわ。難関は中学2年生の娘さん……芽衣ちゃんが反対しているの。私にお父さんを取られるんじゃないかと心配なのよね……」
「それはわかる気がする……」
「そうなの。だから今は芽衣ちゃんと仲良くなろうと努力中で、認めもらうまで頑張るわ」
「応援してる。大変だと思うけど頑張ってね」

まだまだ話し足りないけれど、時間が迫っていた。

私たちは食べ終わると、急いで会社に戻った。

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