その結婚、取扱い注意!
気を取り直して、美人堂の狭い階段を上がりドアを開ける。

「こんばんは~」

やっぱり早いせいで、お客さんはまだ誰もいない。

「あら~ ミミちゃんじゃないの~」

ドアの近くにいた明菜さんがしなしなと近づいてくる。
今日は真っ赤なミニのドレスを着ていて、いつもより華やか。

「こんばんは。明菜さん。これ差し入れです」
「んまあ! たい焼き? 大好物なの。ありがとー みんなぁ~ ミミちゃんからたい焼きいただいたわよ~」 

そこへ美里ママがニコニコしながらやってきた。

「ミミちゃん、ありがとう。おひとりかしらぁ?」
「そうなんです。湊が今晩遅くなるので」
「じゃあゆっくりしてってちょうだいな。久しぶりなんだからぁ。座って。座ってー」

美里ママはいつも座るソファに私を強引に座らせる。

「今日のミミちゃん、なんかOLさんみたいな恰好をしているわねー」

私の服装を眺めて小首を傾げる美里ママ。

「あ、元の会社でアルバイトを始めたんです」
「そうだったのぉ~ 主婦業とお仕事じゃぁ、忙しいんじゃない?」

明菜さんが水割りのセットを持ってくると、美里ママが話しながら作ってくれる。

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