その結婚、取扱い注意!
「あら? ミミちゃんがどうかしたの?」

話しがわからない美里ママは私に顔をぐいっと近づけて聞いてくる。

「きららさんが彼と話をしているところにばったり出くわしてしまって」
「タカったら、ミミちゃんの腕を引っ張ったんです。俺はこういう女が良いんだって。そしたら、ミミちゃんがタカにビンタしたんです」
「ミミちゃんがタカをビンタしちゃったのぉ~ びっくりだわぁ~」

美里ママはバシバシのつけまつ毛を上下に動かす。

「だって、許せなかったんです」

あの一言にきららさんがどれだけ傷ついたことか。

「ミミちゃんったら、意外と勇敢なのね~ きららちゃんはタカのことはいいの? とは言っても、相手の気持ちがあることだから別れようと言われたら別れるしかないかもしれないわよね。私たちは普通に恋愛するのは難しいわ……」

きららさんの涙は止まったみたいで、美里ママの話をしんみりとした表情で聞いている。

「さ、飲みましょーせっかくミミちゃんが来てくれたのに、こんな話ばかりじゃだめよ」

美里ママは場を盛り上げようと、明るい声で言い、手をパンパンと叩いた。


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