その結婚、取扱い注意!

驚きの婚約話

美人堂の帰り道、電車に乗ってふと中刷り広告を見た瞬間ギョッとなる。

アイツだ。

飲料水の広告にタカを含めた5人が爽やかな笑顔で写っている。

アイドルなら、小学生から女子中高生にモテモテだろうな。そんな彼にもしもきららさんのことがばれて表ざたになったら、アイドル生命は終わってしまうかもしれない。彼の選択もわからないでもないけど……きららさんが早く立ち直ってくれるといいな。

自宅のある駅に到着してもまだ21時を回ったばかり。
美人堂へ行った目的は美里ママの顔を見に行くだけだったから、ゆっくりしていきなさいな。と言われたけれど、早々とおいとましてきた。
きららさんのこともあって、気まずかったし。

とぼとぼと家に向かって歩いていると、肩をポンと叩かれた。

「ミミ、後姿が疲れているぞ」

湊だった。

「湊っ、今日は遅くなるんじゃなかったの?」

紺地に細かいストライプのスーツを着た湊は朝出かけたときと同じように爽やかで、私とは正反対で疲れなんて微塵も見えない。

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