その結婚、取扱い注意!
その後、他の面々がダンスをしたり、なぜか漫才で楽しませてくれる。

こんなに笑ったのは久しぶり。ロンドンにいた2年間、日本に帰ってくると一度は顔を見せていたけれど、ここのみんなをよく思い出していた。

美里ママがピザ生地を伸ばしはじめて、皆が息を呑んで見ている。

くるくる指を使って宙で回し、時々高く放る。それからまたくるくると回してみるみるうちに大きなピザ生地が出来上がってきた。

こういうところを見ると、昔はシェフだったんだと納得。

時々我が家で作ってくれる料理も絶品。

ピザ生地を伸ばしている姿は女性なんだけれど、ドレスの上からでも腕に筋肉が見えて男が見えてしまう。

「は~い。生地が出来たわ~ 具をトッピングして皆さんに食べてもらいますからね~」

美里ママがカウンターの中へ引っ込む。

不意に誰かが私の隣に座った。

白いスラックスが目に入り男性だと気づく。

「湊っ!」

湊ではなく、別人だと気づく。その男を見てポカンと口が開く。

「あなたがなんでここにいるのっ?」

隣に座ったのは先ほど声をかけてきた白いスーツの金髪の男だった。

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