その結婚、取扱い注意!
「先方が恐妻家らしくて、早々に切り上げてきた」

苦笑いを浮かべた湊の腕にそっと腕を絡ませる。

「そうなんだ。奥様の言うとおりにしてくれるなんていい人なんだね」
「まあな。で、俺が奥様の言うとおりにしてないとか言う?」

からかうような湊の口調に、疲れていた私は大きく頭を横に振って意思表示。

「だよな?」
「うん。湊はとてもいい旦那様だよ」
「お! 今日は素直じゃん。どうかしたのか? 美人堂で悪いものでも食べてきたか?」

美人堂と聞いて、きららさんのことを思い出してしまう。

そんな話をしているうちに、マンションのエントランスを抜けてエレベーターホールに来ている。

「美人堂へ行くときに、きららさんと彼氏の別れ話をしているところに出くわしちゃって……」

エレベーターに乗ると、湊が階数を押した。

「きららに彼氏がいたって、初耳だけど」
「私もクリスマスパーティーで知ったの」

誰も乗ってくることなく、住まいのある階に到着し、玄関のドアを開ける。

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