シニガミチェーンメール
放課後、綾介と久琉斗は
一緒に駅まで歩いて行った。
「…あれ見てから、
誰を信じればいいのか、
わかんなくなったよ」
綾介が肩を落としながら歩く。
「…まぁ、な。
選択肢は元々一つだったってのに、
あの嘘の友情の所為で、
増えたんだもんな」
「黒川…良い奴だったのかもしれね〜」
「…ま、綾介に久留島を
選ばせなかったのは、
ある意味では皆のためだもんな。
…結果として、
自分を追い詰めただけだったけど」
それ以上は言葉を交わすことなく、
電車に乗り、別れた。
雨はとっくに止んでいる。
黒川と山地の…
身近な人が流した涙が、
少なかったからなのか?
綾介は地面を見ながら考える。
水溜まりに
町を行く人々が映っていったが、
綾介がその水溜まりを
覗き込んだ時、
ただのアスファルトの地面を
映し出すだけになっていた。
水溜まりの中には、
綾介は映っていない。
俺もいつか…
存在が消えるんだな。
家に帰る。
最近、前まで
有り余っていた食欲も
失せてきて、寝る毎日だった。
たまにペットのチワワ__
リヴと散歩に行っては
ため息をつくくらい。
それが、
綾介の日常と化していき、
ほんの九日前のような平凡な日常は、
なかったかのよう。
綾介はベッドに寝転がり、眠る。
シニガミチェーンメールが
始まってから、一度も笑っていない。
__笑いたくもない。