シニガミチェーンメール
教室は、
いつも通り、静かなままで、
全員が席に座っている。
机の数は、十。
最初、このクラスの中には、
机が二十八はあったのだ。
それぞれ、消えていった机。
綾介が席についた瞬間、
♫ピロロンロン♫
鳴り響く、メールの着信音。
この音だけは、
何度聞いても慣れることはない。
いつ消えるのだろうか。
いつ回ってくるのだろうか。
様々な思いが交差し合い、
全員が心の中の葛藤を繰り返す。
今日の
シニガミチェーンメールの初めは、
目立たない組の女子、
野崎 遥(ノザキ ハルカ)だ。
「あっ…アタシが最初…」
綾介は気づいていた。
最初にメールがくると
今日は生きられるため、
嬉しさが込み上げること。
綾介自身も最初にメールが送られて、
その気持ちになったことがあった。
遥も頑張って表にこそ出していないが、
喜んでいるのが
少しだけ、感じられた。
遥は少し戸惑ってから、
同じ目立たない組女子の、
中岡 叶(ナカオカ カナ)に送った。
♫ピロリンピロン♫
叶は同じ目立たない組女子の、
瀬田 皆子(セタ ミナコ)に送る。
皆子は江野 真奈美に送り、
真奈美は白華のことを思い出したのか、
涙を流しつつ、
暗いアニメオタクの
石川 新太(イシカワ アラタ)に送った。
__普段なら、
真奈美はきっと、
久琉斗に送っていただろう。
シニガミに操られていたのかは、
解らない。
新太は目立たない組の男子、
笠山 悠(カサヤマ ユウ)に送った。
悠がシニガミに操られていたかも、
知る由はない。
悠は未来と仲が良く、
いつも通りなら、
絶対に未来にメールを送ったはずだ。
まだメールがきていないのは、
神楽 綾介と
間 久琉斗と
深口 未来と、
屋良 裕理(ヤラ ユウリ)という、
存在感のない暗い男子のみ。
悠は裕理にメールを送る。
アニメ仲間だからだ。
♫ピロロロロン♫
そして、綾介の携帯が鳴った。
綾介に
シニガミの残酷な選択肢が
渡された_____