シニガミチェーンメール
「…やった…やった…」
悠が薄ら笑いを浮かべたまま、
何度も何度も、
自分が今生きていることを喜んでいる。
__他人が、
石川 新太が自分の代わりに
消えたのを忘れて。
綾介は、悠の気持ちも、
充分に理解できた。
モルテになりかけた、あの時。
恐怖、緊張に
身体を押しつぶされそうになり、
出来るなら、
自分は生きたい、と思っていた。
他人を消したくない、とも。
しかし、現実では、
生きたい、けれど、
消したくないというのは、
ただの我儘となる。
シニガミは、
そんな願いを聞き入れないのだから。
そして、
人が消えるのに慣れた今、
この八人は、互いを、
敵としか見ていない。
生き残るのに邪魔な物。
人間が、邪魔な物に
見えるようになってきていた。
さっきの綾介のような人間は、
この世の汚物のように、
悠と裕理には見えていた。
綾介が下唇を噛む。
__混じる、鉄の味。
しかし、
綾介はその鉄の味に気づかず、
ジッと前を見ては、震えていた。
俺はいつ…消される?
全員が同じことを思っているのか、
八人は思い詰めた顔で、
担任がいつも通り入ってくるのを
待っていた。
担任が入ってくる。