シニガミチェーンメール
綾介は食パンを食べず、
準備をしてから、家を出た。
爽やかな秋風。
時折、冷たい風が混じる。
自転車には乗らずに、
黙々と下を向いて駅までの道を
真っ直ぐに歩いて行く。
目に光は宿っておらず、
魂が消えた、
人形のような気さえした。
駅に行く途中では、
何人もの会社員やら
違う学校の高校生やら、
中学生や小学生が笑い合いながら
すれ違っていく。
この町で綾介のみが、
久琉斗のことを覚えている。
涙は流れない。
まだ、心は久琉斗の死を
認めていないのだ。
久琉斗はきっと先に教室に行ってる。
改札口についたが、
いつも柱にもたれかかって、
女子高校生の視線を
集めていた久琉斗はもう、居ない。
改札口を通り、電車に乗る。
__ガタン__ゴトン
電車の音が、やけに遅れて聞こえた。
久琉斗が自殺した
信じられない。
信じられるわけがない。