シニガミチェーンメール
「どうしよう…どうしよう…
どうしよう…」
悠がブツブツと呟いて、
綾介と裕理を交互に見た。
綾介は、頭に刻み込まれた
シニガミチェーンメールの本文を
思い出し、
ギュッと唇を噛む。
なにが…
仲の良い人に送ってください、だよ…
その、仲の良い奴を…
消していってる、くせ、に…
綾介と悠と裕理は、
元からそこまで
仲の良い訳ではなかった。
悠と裕理は、
たまに話をした程度。
悠と綾介は
未来という共通の友人を通して
知り合っていた程度。
この二人の中に、
悠にとって仲の良い人は
_____居ない。
「どっちに…送れば…」
「僕に送れ、僕に送れ、
僕に送れ、僕に送れぇ!!!」
裕理がギロリと悠を睨むと、
悠はこれ以上ないほど
身体を震わせた。
汗が滲んできて、
顔色が
真っ青になっていくのが、
側から見ていても
解るほどだ。
はぁ、はぁと息遣いが荒くなって行き、
ドサリと悠は
床に倒れこんだ。
「笠山!?大丈夫か!!?」
そう叫び、
悠に近寄ろうとすると、
いきなり、ものすごい力で
綾介は押し倒された。
「ぐっ!!」
頭を机の角にぶつけ、
視界がぼやけた。
ズキズキと、
痛みが
綾介を襲う。
身体が硬直して
動かない。
「邪魔をするな神楽!!
笠山が消えればお前も僕も
生き残るだろ!?」
「…!」
裕理のその言葉で、
悠の身体を蝕んでいた
震えが
止まった。
「僕だって生きたいんだ!!」
悠が、泣き叫んだ。
悠の手が
宛先を綾介にしようと
動く。
それを止めようと
裕理が
悠に
飛びかかった。
綾介は、それを
見ているしか、なかった。
「やめろ!!僕は生きたいんだ!!
神楽を消せよ!
僕以外はどうだっていいんだよ!」
「それなら、お前が消えろよ!!」
もつれ合い、
互いに殴りあう悠と裕理。
大人しかった二人を、
綾介は某然と見た。
二人を狂わせた、一通のメール。
「お前ら…
なに、してんだよ…」
喉から絞り出した声は
二人には届かない。
死は、
すぐ近くにあるというのに。
裕理が、
悠の手から
携帯を、
もぎ取った_____