シニガミチェーンメール
「っ、うわぁぁぁあ!!」
綾介が目を覚まして叫び声をあげた。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…
…夢?」
いつの間にか、
眠って短い夢を見ていたようだ。
__シニガミの夢。
やけにリアルで、
綾介はビッショリと
冷や汗をかいている。
時計を見た。
__六時半だ。
のそり、と起き上がると
二階へ下りていく。
パジャマが肌に張り付いて、
気持ちが悪かった。
脱衣所でパジャマを脱ぎ、
シャワーを浴びる。
「…」
シャワーを浴びて、
出るともう時刻は七時十分。
制服に着替えて、
準備も早々に家を出た。
自転車に乗る気分じゃない。
笠山に、言いたいことがある。
天気は皮肉のつもりか、
雲一つない快晴で、
ぽかぽかとお日様が暖かい。
綾介は歩いて行く途中で、
疑問を持った。
そういや…
なんで、この二十日間で
クラスの奴は殆ど消えたのに、
俺は泣き喚いたり、
悲しんだりしねーんだ?
普通なら、
自殺しても
おかしくないかもしれないってのに…
答えはすぐに見つかった。
…あぁ、シニガミの所為か。
シニガミが
そういう呪いかけてんだっけ…
シニガミチェーンメールに
専念できるように。
シニガミはその願いを込めて、
呪いをかけたようだ。
紅葉が、
地面を染める。
赤に、黄に、
色鮮やかに。
駅につく。
一瞬、
改札口に久琉斗の幻が
見えたような気がした。
階段を登り終えた時、
ちょうどいつものる電車が
ホームに止まった。
ゆっくりと乗り込む。
電車は揺れる。
__ガタン__ゴトン
流れていく街並みを、
綾介は大切に見つめた。
もし、今日自分が消えるのなら、
二度と見られない景色。
その細部まで記憶をしておこうと、
黒い瞳に
光景を焼き付けた。
__駅について、
学校へ向かう。
学校に続く道のりを、
一歩一歩、
踏みしめて歩いた。
死が、間近にある。
教室に入れば、笠山 悠が、
すでに座っていた。