シニガミチェーンメール



綾介と久琉斗は、



教室に着くまでの間、



一言さえも言葉を交わさなかった。



交わす事が出来ない。



さっき感じた恐怖が、



二人の身体に焼き付いているのだ。



教室の五歩手前まできた時、



教室内は



騒然としていた。



「井上が死んだって!?」



「誰か屋上見てきてよ!」



「シニガミチェーンメールは
本物なんだ!」



「確か、間君と神楽君が…」



ガラッと教室の扉を、



綾介が力を込めて開けた。



久琉斗が、茫然自失とした状態で、



瞳に涙を浮かべている。



久琉斗と玲二は



親友のような関係だったのだ。



全員の目が、二人に向く。



期待と恐怖の交じる二十五の視線。



綾介が、扉に手をかけ、



ドアを開けたまま、



答えた。




「井上は…消えたよ」



「玲二…うっうわぁぁぁあ!!」



久琉斗が、



教室前の廊下で膝をつき、



泣き叫んだ。



瞬く間に、教室の中は、



絶叫の渦に巻き込まれた。



激しく泣き叫んだのは



久琉斗と



暁美だった。



< 21 / 170 >

この作品をシェア

pagetop