シニガミチェーンメール
「井上がっ…嘘でしょ…」
園田がよたよたと
綾介に駆け寄り、肩をグッと掴んだ。
痛いくらいの力で。
「…本当だ…俺らの前から…消えた」
「そんなっ…そんなっ…」
暁美が崩れ落ちるのを、
綾介は両手で支え込んだ。
「井上がっ…告白もっ…
してない…のにっ…」
綾介はただ黙って
喧騒に包まれた教室の入り口で
暁美を見ていたが
さっき撮ったムービーを思いだした。
久琉斗は席に座り、
突っ伏して泣いている。
「…あ、園田…?」
「何よっ…」
「…さっきの事…
井上がお前を突き飛ばしたろ?」
「…」
「あれで、謝りたいけど直は恥ずいから
って、ムービーとったんだ」
「…」
「…謝ってるところが映ってる…
見るか?」
「…み…見る…」
暁美に合わせ、綾介もしゃがみ込んで
ポケットに手を突っ込んだ。
そこにあるのは、
生ぬるい携帯。
「ほら、見ろよ」
再生ボタンを押し、
暁美にだけ見える様にした。
暁美は数秒黙って
涙を流しながら食い入るように
見つめていたが、
「っ、ヤダァァァァ!」
「は!?」
暁美が手で顔を覆った。
尋常じゃない。
綾介はムービー画面をこっちに向ける。
そこに映っているのは
井上 玲二と
鎌を振り上げ、黒いマントを着て、
骸骨、目が黒い穴_____
シニガミだった。