シニガミチェーンメール



「え、は!?嘘だろ、マジかよ!?」



おかしい、



さっき撮った時、



こんな者は映ってなかった。



これが死神かよ…?



「シニガミチェーンメールは
本物なんだ!!!」



久琉斗が叫ぶ。



「ルールを破ると、殺される!」



ガラッ_____



その時、



三組の女教師、山﨑 梨子が



扉を開けた。



梨子の目に映るのは、



泣いている久琉斗と暁美。



暁美の側で



携帯を見て唖然とした綾介。



五月蝿く喚く、



一年二組の生徒たち。



「静かになさい!」



鶴の一声というもので、



喧騒はすぐに、ピタリと収まった。



「何があったの」



綾介が立ち上がる。



「…昨夜」



グイッと綾介の制服の裾を、



暁美が力なく引っ張った。



しゃがみ込み、耳に手を当てる。



「なんだよ」



「ルール違反で…消える…」



そういえば、そんなルールがあった。



綾介は再び立ち上がり、



「井上 玲二君が、
行方不明になりました」



山﨑は怪訝な表情をして、



一言だけ、言った。



「井上 玲二って誰?」



今度は、二組の全員が



キョトンとする番だ。



玲二は、散々教師の手を焼いており、



度々玲二を叱りつけていたのは、



山﨑だったから。



「そんな架空の人物で
遊ぶ暇があったら、
さっさと席につきなさい」



山﨑が去ったあと、



暁美がポツンと呟く。



「…存在が、消えたんだ…」



全員が、



シニガミチェーンメールという



残酷なゲームを理解した。



ルールを破れば存在が消される。



他人の記憶にも残らない。



十分以内に一人に回せ。



死神のゲーム_____



スタート。



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