シニガミチェーンメール
♫ピロンピロロロロン♫
三人の中の、誰かの携帯が鳴る。
携帯を開いたのは_____
渡辺 瑠々子。
勝ち誇った笑みを浮かべた。
その微笑みを見た綾介は、
背中に戦慄がほとばしるのを、
感じた。
「誰に送ってほしい?」
瑠々子が、言った。
「委員長、どっちに送ればいい?」
暁美に問う瑠々子は、
このゲームを楽しんでいるようだ。
モルテ候補の黒は
下唇を噛んでいて、血が滲んでいる。
竜人は自信があるのか、
余裕の態度をとっている。
暁美が青白い顔のまま、
答えるように口を開く。
「…渡辺さんの判断に任せる…」
瑠々子がニヤァ、と笑った。
きっと、瑠々子にメールを送った誰かは
後悔しているだろう。
命のゲームを楽しんでいる。
綾介は
明日のシニガミチェーンメールの
モルテが解った気がした。
瑠々子は、
明日の事など考えていない。
「そうねぇ…」
瑠々子が送信ボタンを押した。
♫ピロロロロロ♫
竜人の携帯が鳴り響いた。
竜人が画面をゆっくり開く。
シニガミチェーンメール
という文字。
「う、うわぁぁぁあああ!
死にたくない!
死にたくない!死にたく…」
黒が叫んで、
後ろ向きに椅子ごと倒れた。
綾介はその痛々しい姿を見たくなく、
目を背けた。
「嫌だ!死にたく…」
黒が言いかけた時。
「キャァァァァ!」
叫び声。
黒が消えた。
玲二と同じように、
姿形なく。
数秒後、
全員の携帯の、
着信音が鳴った。