シニガミチェーンメール



久琉斗は綾介の背を見つつ、



授業に参加する。



なぜか、



シニガミチェーンメールが終わって



授業を受ける時になると、



さっき受けた衝撃や恐怖が



一時的になくなるのだ。



これも、



一種のシニガミの呪いの所為だろうか。



いつもなら、



綾介もその呪いのようなものにかかり、



普段通り授業を受けるのだが、



今日だけは、違った。



鉛筆も握らずに、



花香の席があったところを



見つめている。



机や椅子は、そこにない。



綾介の背中がブルブルと震えるのを、



久琉斗はジッと見ていた。



__キーンコーンカーンコーン__



六時間目終了のチャイムが鳴ると、



綾介は久琉斗を待つこともせず、



淡々と準備をして



教室を出て行こうとした。



久琉斗も慌ててあとを追う。



「おい、ちょっと待て…」



久琉斗が肩に手を置いて



グッと力を込めると



綾介は我に返ったように



ピクンと動く。



「…なんだよ…」



「確かに赤崎は死んだ。
けど、明日になれば俺やお前だって…」



「っ、五月蝿い!」



久琉斗は驚いて、



肩に置いた手を放した。



綾介がそんな言葉や声を出すことは



今まで、一度だってない。



「赤崎と会うために
俺は学校に行ってんだ…
それが学校に行く目的の殆ど…
あんな告白っ…
最悪のままじゃねえか…」



また、綾介の瞳が潤み、



下唇をギュッと噛んでいた。



久琉斗は



なんとも遣り切れない思いのまま、



黙って、歩き出した綾介の隣を歩く。



「…」



酷いな…



久琉斗の心で感じたのは、



その言葉だった。



誰かにとって大切な人も、



シニガミはあの世へ連れていく。



それが例え何かのためだったとしても、



やるせない気分だ。



…いつか、俺や綾介も消されるんだな…



久琉斗は



その日がそう遠くないことに気づき、



手を握りしめた。



綾介は無言のまま、



道を歩いて行く。



一年二組の生徒数__二十五。



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