シニガミチェーンメール
授業を受け、放課後になる。
綾介はいつものように、
すぐには帰らずに
教室の後ろのロッカーにもたれ、
教室の中を見渡してみた。
教室内に、元のような笑顔は__ない。
コソコソと数人で集まり、
口々に何かを言い合っている。
元のような、
友達付き合いの良く、
イジメがないと認識されていた
一年二組は
もう傷だらけの状態。
夕焼けが、皮肉にも美しく
教室の後ろの黒板を赤く照らしていた。
久琉斗と未来が、
綾介を挟む様に
ロッカーにもたれかかる。
「どうした?綾介」
僕系男子の未来が話しかけた。
「いや…本当に、
ただのチェンメで
ここまでクラスが変わるんだ…
って思ってな」
「…だよな」
久琉斗が両手を頭の後ろで組む。
「人間関係ってのは、脆いもんだ」
「…所詮はこんなものなんだろうね」
未来が悲しげにため息をつく。
「女子なんて、さっき、笑ってた。
人間一人の存在が消えたのに」
「玲二が死んだ時も、
普段はヘラヘラ玲二に媚びてた奴が
笑ってたな」
久琉斗が忌々しげに
特定の人間を睨みつつ、呟く。
綾介もあとに続いた。
「…赤崎が死んだ時も、
笑ってる奴が居た」
大切な人間じゃなければ、
存在が消えようとどうでもいい。
存在が消えるさまは、一種の見世物。
そう思っている奴が居るのだろう。
「…怖え」
綾介は唇だけを動かして、
ひとりごちた。
「んじゃ、俺、帰る」
綾介がロッカーに手をついて、
身体を支え、起き上がる。
久琉斗も立ち上がった。
「綾介、帰ろうぜ。…深口、またな」
「…うん、さよなら、綾介、間」
綾介と久琉斗が今日はを出て行く。
未来も目立たない組の友達、
笠山 悠と一緒に教室を出た。
残り、二十四人。
着々と、
シニガミはクラスメイトを消していく。