シニガミチェーンメール



「…三人?」



綾介の眠気が、一気に吹き飛んだ。



三人。



この言葉の表す重み。



__三人が消える__



綾介は眠れない。



眠ろうとしても



目をつぶることができなかった。



目の前に



シニガミが居る気がして。



目をつぶると、



消えてしまうと畏怖して。



七時。



食パンを口に詰め、



準備を十分で終わらすと、



美結よりも先に家を出た。



秋風が心地良いが、



そんなのはどうでも良かった。



早く学校に着きたい。



なぜか気が焦り、



猛スピードで自転車を漕ぐ。



途中、人を撥ねそうになったが、



ギリギリのところで躱した。



駅舎に着くと、



走って中に入り、改札口に向かう。



もちろん久琉斗は居ないだろう。



しかし、



予想と反して、



久琉斗は柱にもたれていた。



「…綾介、おはよう」



「…おはよ…」



二人は沈黙を保ったままで、



ラッシュアワーになるよりも



少しだけ早い時間の電車に



乗り込んだ。



以前、二人でラッシュアワーの時間に



電車に乗ろうとしたことがあったが、



あまりの熱気と



圧迫感でヘトヘトになり、



もう二度と



ラッシュアワーの電車には乗らない、



と誓いをたてていた。



ガタン__ゴトン__



駅についても、校門についても、



二人は一言も喋らなかった。



なんで早く来たのか、



解っているような、



そんな気がしたからだ。



教室を目指す。



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