シニガミチェーンメール
次々とメールが送られていくが、
モルテ候補の三人の携帯は鳴らない。
久琉斗や未来は、
送られないようにしていた。
もう、皆は
誰に送るのかを決めてあるのか
最初のように迷うことなく
送信ボタンを押す。
そして__
♫ピロロロロン♫
未来の携帯が鳴った。
まだ携帯が鳴っていないのは、
綾介と、暁美と、
百合子と、久琉斗と、
チャラ男の新川 真司のみ。
未来が迷わず綾介にメールを送ろうと
送信ボタンに指をかざした時__
「あんたまさか、
神楽にメールを送るつもり?」
真子が立ち上がって、
未来に近づいていく。
「あんたをモルテにするよ?」
邪悪な笑いで見つめられ、
もともと内気で気弱な未来は
携帯を持ったまま、固まった。
「…でも、綾介は」
「神楽なんかどうでも良いの!
神楽なんか消えろ!死ね!
もし神楽に送ったら、
モルテにするから!」
綾介に対する罵倒を、
未来に浴びせていく真子は、
一瞬、綾介には死神に見えた。
未来の目が泳いでくる。
「っ、深口…」
久琉斗がなんとも言えない表情で、
未来を見つめた。
五人__の心は、
複雑に何重にも絡まっている。
モルテ候補の三人と、
久琉斗と未来。
消えたくない、けれど、
他人を自らの手で消したくない。
選択権は、未来____
未来は、九分近く悩んだ。
残り、八秒。
七、六__
未来は、
送信ボタンを押した。
♫ピロロロロン♫
携帯が鳴ったのは、
神楽 綾介。
綾介は例えられないような表情で、
携帯を見つめた。
送信ボタンを押す。
♫ピロロロロン♫
間 久琉斗の携帯。
モルテの決まり____