シニガミチェーンメール
天気は、昨日と同じ雨。
綾介は雨が嫌いだ。
自転車で駅へ行けないことと、
母に
『誰かが死んだ日は、
その人の身近な人が
泣いているから雨なのよ』
そう教えられ、
雨は縁起が悪いものと覚えたから。
黒い傘を差して、昨日と同じように
土砂降りの雨の中を歩いて行く。
町は紅葉が消えてきて、
枯葉が道を茶色に染めていく最中だ。
駅に着くと、傘を窄めてから、
改札口へ。
久琉斗は、
昨日、綾介が先に帰ったのにも関わらず
柱に寄りかかっていた。
「…はよ」
「おはよ。行こうぜ」
電車に乗って、
席に隣同士で座る。
「赤崎は気にすんなよ」
久琉斗が綾介に言葉をかけた。
久琉斗は、綾介がたまに
思いつめすぎることを知って居る。
すべて一人で抱え込み、
外に出そうとしないのだ。
そんな綾介が頼れるのは、
自分だけということも解っている。
「でもさぁ…
周りから見れば、
俺ってそういう風に見えるんだな」
綾介が暗い顔で呟く。
「見えねえよ。全く見えない」
「黒川がそう言ってる間、
他の奴らも俺のことを
興味深そうに見てたんだ」
「…もう忘れようぜ」
ガタン__ゴトン__
キキイィィイィイイイイイイッ!!!!
グラッと車体が揺れて、
電車が止まった。
「なっ、何があったんだよ!?」
久琉斗が席から立ち上がった時、
列車の放送がなった。
「ただいま人身事故が起こり、
出発までは十五分ほど
掛かると思われます。
お手数ですが、暫くお待ちください」
…人身事故…
飛び込み自殺か?
綾介はそう思って、
ブルッと身震いをする。
「…しゃあねえな」
久琉斗が座った。
綾介はぼんやりと窓の外の景色を見る。
窓についた水滴を通して見る町は、
歪んでいる。
…自殺か。
シニガミチェーンメールだと…
嫌でも存在が消されるってのに…
山地か小田がモルテ…
十五分経って、列車は駅に着いた。
学校へ向かう。