シニガミチェーンメール
一年二組の
質素なプレートが飾られた
教室に入れば、
黒川 信友が立っていた。
「…」
綾介と久琉斗は無言のまま、
自らの席に座る。
「なんで白華か雅史なんだよぉ…」
山地 白華(ヤマチ シロカ)は
信友の唯一無二の彼女。
小田 雅史(コダマサシ)は
信友の親友であり、幼馴染。
死神は残酷な選択肢を用意する。
「…昨日、お前が綾介に
命令したからだろ?」
久琉斗が身体を信友に向けた。
「五月蝿いっ…!
あれは神楽が久留島を選ぼうと…」
綾介がそれにピクンと反応し、
身体を信友に向ける。
「違うっ…!
あれは、お前が久留島を
モルテとして
確定しようとしてたから…」
「なら、なんで久留島を庇ったんだよ!
赤崎への告白が嘘らしく見えて…」
その時。
♫ピロロリン♫
メールの着信音が、
目立たない組の笠山 悠(カサヤマ ユウ)の
携帯から鳴る。
久琉斗は、
何かを言おうとした
綾介の肩に手を置き、
止めた。
「僕…から…?」
悠が呟く。
誰かに送るシニガミチェーンメール。
♫ピロンピロロロ♫
鳴ったのは、
悠と仲の良い深口 未来の携帯。
繋がっていくメール。
しかし、あの三人__
信友と白華と雅史の携帯は、
もちろん鳴らない。
そして、とうとう__
♫ピロピロロロロン♫
信友の携帯が鳴った。