みかん


今日は空いているのか病院内は静かだった

それがますます僕を不安にさせた

診察室から聞こえてくる他の犬の叫び声

僕はそれをかき消したくてめちゃくちゃに鳴いた

雪は「大丈夫だよ」

って言ってたけど籠のせいで雪が見えなくて安心できなかった


「みかんく~ん」


受付のおねえさんが僕の名前を呼んだ

ついに僕の番だ

雪が立ち上がりかごを持ち上げた

グラグラしながら僕は泣き続けた

< 27 / 38 >

この作品をシェア

pagetop