フクワラ匕



甘ったるくて耳に心地よく響くこの声。



少女は申し訳なさそうな顔で

鏡の中にいた。


「ごめんなさい。言おうか迷ったんだけど、
実はね…1つだけあるの。

ここから出る方法」



先程とはうってかわり

優しく穏やかな声で話す少女。

うれしい報告は続く。



「それに、その顔だって戻るかもしれない」


一瞬希望の光が見えた気がした。


だけど次の瞬間それは闇に姿を隠す。


「でも顔が戻っても、もうあたしは…」


鏡で見せられた光景を思い出したのだ。



「大丈夫。

わたしに考えがあるの。


まぁ、

上手くいくかはあなた次第なんだけどね…」


ふと感じた素朴な疑問。


「何であたしに優しくなったの?」


少女は照れたように答えた。



「言ったでしょう?

あなたはわたしの大好きな人に似てて…

たぶん放っておけないの」





声が、ね。

それを聞いたあたしは心の中で付け加えた。


ふとあの少女に慕われているその人が

羨ましくなった。


なんて、ね。

あたしはその気持ちを頭から振り払った、

それはさておき…



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