フクワラ匕
深月 京花――
そう名乗った転校生はかなりの美人だった。
日本人にしては茶色い髪と目で
小さな顔にバランス良くパーツが
おさまっている。
少なくとも彼女の外見なら
誰しも1つは持っている外見の
コンプレックスとは無縁だろう。
ただその完璧さゆえか、
少し近寄りがたい印象も受ける。
それが彼女の第一印象だった。
「深月はこの冬からこの学校に
通うことになって…」
担任が彼女の紹介を始めた。
ふと回りを見渡すと優乃と目があった。
「なんかお人形さんみたいだね」
あたしの席から少し遠い優乃が
口パクでささやく。
‘人形’
彼女を表現するには適度な例えかもしれない。
あたしは優乃にうなずいて同意を示した。
遥陽のリアクションも確認したかったけど
あたしの席からは他のクラスメートに
隠れてあまりよく見えない。
遥陽のリアクションを見るのを
あきらめて彼女、深見 京花に
再び目を向けた時――