封船屋
私はきちんと“思い”を消化できる人間なのだ。
思いに翻弄されることなく、祖父への思いが自分の中で生きている。

今まで自分のことは、自分自身が一番分かっていると思っていた。

たかだか17年生きてきただけでは、まだまだ何も分からない事を知った。


やはりこの人は凄い。
長く生きてきた人には叶わないのだ。

涙が止まらない。大粒の涙がぽたぽたと机に染みを作った。

「あらあら、どうしてそんなに泣いているの?私、何か悪いこと言ってしまったかしら…?」

私があまりにも泣いているために、ふうさんがおろおろしていた。
その仕草があまりにもおかしくて、笑ってしまった。
私がなぜいきなり笑いだしたのか分からないという顔で、ぽかんと私を見ていたが、つられてふうさんも笑いだした。

二人の笑い声が、小さな店の中で響いていた。

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